造形作家
ヒサキヨウコさん
聞く人:くまのわ代表 くろだ
場 所:ぷぺぽ編集室
写 真:ぷぺぽ編集長 青山忍さん
日進市を中心に、親子向けの造形(アート)教室や、親子が気軽に遊びに来られるイベント「あそぼ!」を開催するなど、親子向けの活動を精力的に行なっているヨウコちゃん。足元は冬でも下駄。一見、ちょっと変わった人?と思われそうですが、お話ししているといろいろなことを「いいんじゃない」と受容してくれる懐の深さを感じます。
人はみんな多面的な顔を持っています。いつも陽気に笑っているヨウコちゃんにも、自分自身や育児のことで悩んだり苦しんだりしたことがあったんだそう。悩み事は尽きないけど、それでも前向きに生きよう、私も捨てたもんじゃないと思えるような、優しい言葉がきっと見つかると思います。
もくじ---------------------------------------
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読了所要時間:3分 (目安)
ヨウコ:22歳くらいの時、東京の某テレビ局の食堂でバイトしてたの。大道具さんの仕事したかったんだけど、テレビ局にツテなんてないから、テレビ局の中で誰でも入れるとこはどこかって考えたら食堂が思いついて。東京の全テレビ局に「バイト募集してませんか?」って電話をかけたら募集してた局が1つだけあったの。
くろだ:すごいね
ヨウコ:それで、そこの食堂でバイトを始めたんだけど、これからCGの時代になるから大道具の仕事はもう無いかもっていう話を聞いて、じゃあ小道具ならと思ったんだけど、小道具さんて頼まれたものを買ってきたり集めたりする仕事らしくて。私は、自分で考えて自分で作って発表したかったから、それを仕事にするなら芸術家になるしかないなって気づいたの。企業に入ったらみんなで一つのものを作るから担当制になるじゃん。だからもう、ただただ食堂でバイトしてただけってこと(笑)
くろだ:でも行ったから気づけたんだもんね
ヨウコ:そうそう。それにおもしろいところでもあったよ。社食には芸能人は滅多にこないんだけど、同じテレビ局の喫茶でバイトしてた時もあって、そこには芸能人が来てたの。それで、芸能人も普通の人なんだなと思ったりして。いろんなおもしろい出来事もあったんだけど、その時に手が震えだしたの(笑)それで、友達と事務所にあった「家庭の医学」で「手が震える」って調べたら、自律神経失調症て書いてあって。その辞書みたいな薄い紙が、びらびらびらー!ってなるくらい震えてて 笑 「もう行きなよ病院!」って言われて行ったら「すぐ入院して」って言われたの。
くろだ:病院嫌いなのに
ヨウコ:東京はちょっと刺激的すぎた(笑)で、病院に行ったら「あなたは鬱だから入院して」って言われたんだけど、私はそれも信じられないもんだから一回実家に帰ったの。でも家にいたら心配かけるからと思ってまた東京に戻ったんだけど、その後にものすごくひどくなっちゃって。もうちょっと生きてられないっていうくらいになった時に、ちょっとここから笑い話なんですけど。
くろだ:え、ここから?(笑)
ヨウコ:ガラケーのメールで「神様っていると思う?」っていう病んだメールを友達何人かに送ったの。
くろだ:こわい(笑)
ヨウコ:多分5〜6人だと思うんだけど。そしたら「何?どうした?」とか「いるんじゃない?」っていう返信が来る中、一人の男の子から「呼んだ?」って返ってきたの(笑)それまで「わー!!」って叫んだり知らないうちに涙が出てきたり、精神的におかしかったのに、なんかどうでもよくなって笑えてきちゃって(笑)
くろだ:すごいねー
ヨウコ:その後もバイトとかいろいろしてたんだけど、結局作家活動をちゃんとしようと思って名古屋に帰ってきたのが24〜5歳かな。
くろだ:そっかー
ヨウコ:「神様っていると思う?」って聞いて「よんだ?」って返ってきて、どうでもいいやって思った時に、身を委ねたんだと思うんだよね。今の世の中に生きてる自分をもう委ねてみようって思ったんだよ。
くろだ:委ねるって、なるようになればいいよってことだよね。そうなると、もうその世界には不完全も完全もなくなる。その境地に行けると楽だよなーと思う。
ヨウコ:うん、こういう話してるけど根は真面目だからさ。一般的な常識もあるの実は。気持ちの悪いものはやっぱり受け付けない。礼儀がなってなかったり生理的に受け付けないことだったり。かといって、気持ちいいこともなかなかなくて、生きてる中で「最高!幸せ!」っていうことなんて時間の長さにしたらそんなに長くないよね。だから、気持ち悪いことは排除したいけど、逆に気持ち悪くなかったらO Kだと思ってる。
くろだ:許容範囲が広いってことかな。委ねるってそういうことなのかもね。